過去

過去


子供が家族や友達と楽しそうに遊んでいる

どうやら生存特化の過去のようだ

これが十数年間続く


目が覚め、友人と慌てながら話すが誰かが後ろから友人を刺した

犯人はクラスメイトの少年だった

彼は少年に滅多刺しにされ気を失った


辺りが燃えている

『誰か!生きている人は!!』

どうやら生存者はいなさそうだ

ホテルの中を駆け抜けて入口に辿り着くと、そこには犯人の少年がいた

『あれ?まだ生きてたんだ』

『しぶといね』

犯人の少年はそう告げて刃物を構えたが何かを察して彼にこう言った

『ああ、もう来たのか』

『君、運が良かったね』

そう言って少年は姿を消した

そして彼はその場に倒れ泣き始めた


彼は病院の廊下を歩いていた

するとそこに死んだ筈の友人がいた

『翔太!?お前、生きていたの』

『ふざけるな』

『…え?』

『どうしてお前だけ生き残った!!』

『翔太、お前何言って…』

少しずつ人が増えてゆき、彼を罵倒している。

『『お前だけ生きているのは間違っている。お前はあの時に死ぬべきだった』』

『ぅう…ぁぁあ…』

『『『俺たちだって生きたかった』』』

『やめて…もう、わかったか』

『『『俺たちを見捨てた。俺たちを見殺しにした』』』

『ああ…ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』


しばらくその日々が続き彼は少しづつおかしくなっていった

『さっさと死ねよ!』

『わかってるって、アイツを殺したら僕も正しく戻るから』


やっと少年を見たけた彼は少年と激闘を繰り広げ、勝った

『ああ、負けちゃったかぁ』

『お前の負けだよ喜笑』

『言われなくとも分かってるって』

『…なんで、あんなことをした』

喜笑そう聞かれて顔を歪め、笑った

『ハハハッ!アハハハハハハ!アハハハハハハハハハッ!!』

『何がそんなに楽しいんだよ喜笑!!』

『いいよ、教えてあげる。

あの事件を起こした理由、それは君だ』

『は?』

『君の才能は素晴らしいんだ』

『君はよっぽどのことがない限り死ぬことはない、そう!君は成れるんだ!』

『恒久的な平和の守護者に!!』

『お前は何を』

『君を知った日は人生最高の日だった

俺では叶えることの不可能な理想を叶えることのできる才能に出会ったのだから!!!!』

『さて、最後の仕上げだ

君は今までずっと罪悪感から幻覚や幻聴、悪夢を見続けていた。そうだな?』

『あ、ああ…』

『それは間違いだ。

お前は罪悪感なんざ感じていない』

『は?』

『虚実操術、解除』

すると、彼の周りの幻影は消え失せた

『…え』

『それはな、ずーっと俺が君に見せ続けた偽りの現実なんだよ』

『う、嘘だ!そうに決まってる!!』

『なら何故、慌ててるんだい?』

『それは、』

『君は自分のせいで多くの人が殺されておきながら!罪悪感を感じていなかったクズだ!!』

『黙れ…』

『ハハハッ!声が小さくて聞こえないなァ!!そうやって認めたくない現実から目を背けていたのか!参考になるよ!!』

『黙れよ…』

黙らせたいなら、そうすればいい!君はいつでも俺を殺せるだろう!!』

『ああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』

彼は喜笑を殺した

喜笑の残した言葉に耐えかねて

『…何だこれ』

そこに落ちていたのは剣、鏡、勾玉

どうやら喜笑が絶命の縛りで創り出した呪物のようだ

『畜生…最期までふざけやがって…』

























彼は首を吊っていた。

彼は心臓を刺していた。

彼はビルから落下した。

彼は炎に身を投じた。

彼は深い海に溺れた。

彼は大きな岩に潰された。

彼は薬物を己に注入した。

彼は毒を呑み込んだ。

しかし

生気を失った顔に生気が戻る

死ねなかった

肉がナイフを押し除け、再生する

死ねなかった

衝撃で崩れた肉と骨が元に戻る

死ねなかった

焼けこげた身体が元通りになっていた

死ねなかった

身体の中の水が取り除かれ生気が戻る

死ねなかった

潰れた肉体が岩の隙間から出てゆき身体が形成されていった

死ねなかった

薬物は意味を成さなかった

死ねなかった

苦しみはしたが、すぐに治った

死ねなかった


彼は死ぬことができなかった

















誰もいない校舎の中で彼はうつ伏せていた

どうやら、同級生たちは冬河勝という男を助けに行ったらしい

『…そっか』

『…皆を殺して、皆の死に心も痛めなかった僕の罪は死んで許されるものじゃなかったんだ』

『償わなきゃ』

彼の心は壊れきっていた

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